
Lingual Expression and Writing Skill.
「言語表現と文章能力」

しかし、いつものように会話をしていても、伝える相手が変わった途端に、言いたいことや気持ちがなかなか伝わらないと感じることもあります。会話がかみ合わないような違和感を覚えたり、会話が成立していないとさえ感じることがあります。社会環境の変化などによって、従来の価値観や考え方が変化しているのではと、感じることがあります。
今回は、言語表現の変化(進化)と、母国語(言語)を正しく扱うことの大切さについて、考えてみたいと思います。
言語表現の選択と変化(進化)
外国語学校への通学や教材の購入など、英語など他国語を学んだり接する機会が増えています。他国語を学ぶならば、その国の方々の表現の方法や癖(思想や習慣)を知ることも、大切な点ではないかと考えます。欧米の方の会話では、まず最初に Yes か No があって、それからなぜそうなのかを説明する習慣があります。日本的な思考回路で文章を構成してしまうと、前置きが長くなり、なかなか結論には到達しません。特に欧米の方などは、最初に結論を伝えると思い聞き始めて、頭の中で内容を記憶したり組み替えてるうちに困惑してしまい、結局は何を言いたいのかを理解できません。
その人の生活様式や育まれた環境によっては、同じ内容を伝えようとしても、文章の構成や言語表現が異なるということです。
母国語か他国語であるかにかかわらず、言葉や言葉づかいまたは表現の方法は、その国や民族といった人々の考え方や姿勢を映し出す(映し出している)ものです。日本語の漢字から平仮名を生んだのは流行や文化であり、女子高生などが頻繁に使用するギャル語もまた、文化発信による変化(進化)によるものです。
言葉の変遷には、そのときの環境や文化が大きくかかわっています。どのように伝えたいかといった、人の感情や気持ちあるいは考え方が、言葉や言葉づかいを変化(進化)させます。そのときにそのような環境が必要としたからこそ、特定の言語表現が生まれます。そして選択され続けては、それが標準へ変移します。
あくまでも言葉とは、気持ちや感情を伝えるための手段です。そして母国語である日本語もまた、単なる手段の一つです。その人の人格を形成し構成している環境の変化によって、会話における正しい(標準の)言葉や言葉づかいの解釈が、変化するということです。
会話の習慣化と文章能力
伝えたい内容は同じであっても、人それぞれの言語表現の方法や違いもあります。しかし、正しく伝えようとするならば、伝えたいことは何かを明確にしなければ、伝わりません。同じ環境に長く過ごしていると、間違った言葉や言葉づかいでも、何となく伝わってしまいます。そのことで、自分が伝えたいことは何かを整理しなくても、会話は成立し生活できてしまいます。会話を考えるうえで、もし英語などの他国語を学びたいと考えるならば、まずは母国語(言語)を正しく扱えることが、大切ではないかと考えます。
会話の内容に主語がない、修飾語ばかりで述語(結論)が盛り込まれていない。あるいは、気持ちや思いなどの感情を並べ立てるだけで、どうしたいのかを説明していない。そもそも自分は、何を伝えたいのかの正しい理解と整理が、会話にとっては基本的なことであり、とても重要なことです。
頭に浮かんだ言葉をそのまま垂れ流して話したり、説明に対する説明を連鎖的に話してしまうことが、癖であり習慣化している方もいます。前置きが長くなる、さらには要点が見えなくなる原因ともなりますので、留意すべき点です。
親しい友人や気心が知れた方との会話に慣れ親しむと、伝える内容を省略したり言葉づかいが多少間違っていても、ある程度は通用してしまいます。このようなことが習慣化することで、どのような言葉(単語)を組み立てて表現すれば、より伝わるかなどの考えが、おろそかになります。
いつ、どこで、誰が、何を、どのように、そしてなぜか。あらためて慣行の5W1Hで整理してみると、自分が伝えたい内容や表現が、いかに乏しいかと恥ずかしくなることがあります。「結論から先に言う」は、論理的な構成の問題だけならば、話す順序を変えるだけで解決します。
誰に対して何を伝えたいのかなど、自分が伝えたい内容を論理的に構成できなければ、母国語か他国語であるかにかかわらず、「言葉」そのものを正しく扱えないということであり、共通の言語翻訳は難しいということです。
[筆者:大谷智史](2014年4月12日)
§今回は言語表現と文章能力をテーマに、言語表現の変化(進化)と母国語(言語)を正しく扱うことの大切さについて考えてみました。